建設現場では、数多くの専門職が連携して一つの建物を作り上げています。その中でも、内装工事において重要な役割を担っているのが「ボード工事」です。しかし、一般の方にはあまり馴染みのない言葉かもしれません。
今回は、建設業に関わる人だけでなく、住宅や店舗のリフォームを考えている方にも知っておいてほしい「ボード工事」について、わかりやすく解説していきます。
ボード工事とは?
「ボード工事」とは、建物の内部に石膏ボード(プラスターボード)や耐火ボードなどを貼り付け、壁や天井の下地を作る作業のことを指します。下地というとあまり目立たない存在に思えるかもしれませんが、実はこの工程が、建物の快適性や安全性を大きく左右する重要な工事なのです。
石膏ボードとは?
石膏ボードは、石膏(せっこう)を主成分とし、両面を厚紙で覆った板状の建材です。防火性・遮音性・断熱性に優れており、日本のほとんどの建築物の内装に使用されています。カットもしやすく、施工性が高いため、さまざまな形状の壁や天井にも対応できるのが特徴です。
ボード工事の流れ
ボード工事は、内装の大まかな骨組みができあがった後に行われます。基本的な流れは以下の通りです。
墨出し(すみだし)・位置確認
設計図をもとに、壁や天井にボードを貼る位置を正確に確認します。
下地材の取り付け(軽鉄など)
ボードを固定するための骨組み(軽量鉄骨や木材)を設置します。
ボード貼り
石膏ボードを寸法に合わせてカットし、下地材にビスなどでしっかりと固定します。
継ぎ目処理(パテ処理)
ボード同士の継ぎ目やビス穴を専用のパテで埋めて、表面を平滑にします。これにより、仕上げのクロス貼りや塗装がきれいに行えます。
現場の「職人技」が光る仕事
ボード工事は、まさに職人の技が活かされる分野です。ボード一枚一枚を、ミリ単位で正確にカットし、美しく貼り合わせる作業は簡単ではありません。また、現場ごとに異なる構造や環境に応じて柔軟に対応する力も求められます。
近年では、省力化や効率化のための工具や機械も進化していますが、やはり最終的な仕上がりは、職人の経験と技術に大きく左右されるのです。
見えないところにこそプロの技術あり
建物を見たとき、私たちが目にするのは最終的な仕上げ部分です。しかし、その美しい空間を作るためには、「見えない部分」を丁寧に施工するボード工事の存在が欠かせません。
普段はあまり注目されない工種ではありますが、ボード工事の職人たちの仕事が、快適で安心できる建物づくりを支えているのです。
建設業に携わる方はもちろん、これから家づくりやリフォームを考えている方も、ぜひ「ボード工事」という工程に注目してみてください。きっと、建物を見る視点が少し変わるはずです。